Amboyna's Color

始まりの予感

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初めてその島に足を踏み入れたのは、日も沈みかける夕刻だった。

最終の定期連絡船から降りた私を、真っ黒に日焼けした友人が出迎えてくれる。

彼の運転する廃車寸前の大型トラックの助手席から眺めたその島は、

ひどく小さく、夕焼けにむかって傾いているような印象だった。




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もう日も暮れきった頃になって

「一杯、飲みにいこう」

という友人の一言に従い、はじめて集落内へ足を踏み入れた。

その時の驚きは今も忘れない。

「とんでもない処に来てしまった」と思ったのだ。




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おそらく観光地としても有名なこの島を訪れる人々は、

真夏の太陽が降り注ぐ、星砂の道と古民家の町並みを最初に眼にするだろう。



しかしこのとき車高の高い大型トラックの窓の外に広がっていたのは、

まさに夢幻の郷といった世界だった。

オレンジの街灯が道々を照らし、

その狭間をぼんやりとした燈色の砂道が闇に飲み込まれるままに続いている。

とても静かで、心地よい海からの風が吹き渡っていた。





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今思えばこの時の、

2005年9月の宵に感じた「本物の夜」の雰囲気に

私は今も取り憑かれているのかもしれない。




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by amboina | 2010-04-22 09:19 | 南方行脚