Amboyna's Color

火の鳥

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島に持ち込んだ一番大きいレンズとカメラを抱え、

朝の集落を慌ただしく走る私の姿を見て

親しい島人が「何を撃ちにいくんだ」と言って笑った。




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「今、おるよ。ちょうどいい感じだよ」

少し前、私を柄にもない早起きに駆り立てたその電話の声は、

まるで大切な秘密を打ち明けているように、そっとそう囁いていた。



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どこからか、涼しい独特な鳴き声がこだましてくる。

早く早く、という手招きに甘えて遠慮なく上がり込んだその室内で、

優しい笑顔の老夫婦がそっと窓の外の一点を指し示した。

まだ薄暗い森の手前、

二本の小枝の先にその「火の鳥」はいた。




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リュウキュウアカショウビンという美しい渡り鳥がいる。

そんな話を聞いたのは、この島に通いだして3年ほど経ってからだった。

燃えるような赤いくちばしをもった全身朱色の夏鳥だいう。

野鳥の類いに興味はなかったが、火の鳥という異名にそそられて

一度はこの目で見てみたいと思っていた。




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それはまさに「火の鳥」だった。

緋色の翼を羽ばたかせ、枝から枝へと交互に飛び交いながら、

二羽のアカショウビンが寄り添うように巣を守っている。




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しばらく夢中でシャッターを切ってから振り返ると、

窓の外で涼しく鳴き交わす、あのアカショウビンのつがいのような、

睦まじい老夫婦がこちらを向いて優しく微笑んでいた。




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リュウキュウアカショウビン

学名 (Halcyon coromanda bangsi)



島の呼び名 (ホッカルー)

なぜ「ホッカルー」なのかと尋ねたら、そう鳴くからだと教えてくれた。
言われてみると、確かにそう聞こえてくるから面白い。
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by amboina | 2010-05-02 04:33 | 八重山