Amboyna's Color

旅の終わり

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長い旅も終わり、やがて島を去る日がやってくる。

当然いつかは帰らないといけないわけだが、

島に行く日を指折り数えて過ごした長い時間に比べると、

それはあっけなく、突然にやってくる。




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荷物をまとめ、港で船を待つ僅かの時間。

身体から「まだ帰りたくない」という未練が少しづつ抜けていき、

「またくればいい」という心地よい脱力感が満ちてくる。

高速船の最後部で、真っ白な航跡と飛沫の彼方に遠ざかる島影を見送ると、

気持ちは自然にこれから戻る地元での生活に切り替わっていった。




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だが、主島のターミナルを抜け

空港へ向かうタクシーに乗り込む頃になると、

毎回必ず沸き上がってくる別の感慨がある。




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自分のいなくなった島では、そろそろ夕食の支度がはじまっているだろう。

気の早い島人が早くも一本目のビールを開けているかもしれない。

民宿の老夫婦は今日も仲良くゲートボールに出かけただろうか。




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疎外感や寂寥感ではない。

むしろほのぼのと胸の内に広がる、柔らかで優しい感慨だ。

そんな想いは、空港に着きチェックインを済ませ、

これから自分を現実世界に連れ戻してくれる翼が飛び立つまで、

途切れ途切れに続く。




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シートベルトの装着サインが消えた頃。

座席の上で強引に身体をねじ曲げ窓の外を振り向くと、

つい何時間か前まで自分が立っていたその島が

夕陽に染まった大海にぽつんと浮いていた。




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私が初めて沖縄に旅したときの日程は4日間でした。
それが回を重ねるごとに増えていき、最近では言うもはばかれる長期日程が当たり前となりました。
もはや単なる休暇旅行とは呼べない日数です。

そしてそんな長旅から戻ると、必ず陥るちょっとした違和感があります。
久しぶりに見る地元が妙によそよそしく、初めて訪れた街のように感じられるのです。
この不思議な違和感、実は私きらいじゃありません。
島を去るのは名残惜しい反面、帰った先の地元にはこの楽しい感覚が待っている。
そう思うと帰路の長い道行きもさほど苦にならないほどです。

飽きるまで滞在してみる。もうそろそろ帰りたいなと思うまで居座ってみる。
とても贅沢ですが、そんな旅を一度してみませんか。

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by amboina | 2010-05-07 01:31 | 八重山