Amboyna's Color

夢の樹

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島でよく見かける鳥に鷺(サギ)がいる。

真っ白な体をした体長50センチほどの野鳥だ。

海辺の波打ち際では抜け目なく小魚を狙い、

牧草地では飼育牛の背に停まって、飛び交う虫を狙っている。




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ある時、写真好きな島人が興味深い話をしてくれた。

この島の鷺達は夜になると、ある決まった場所に集まり朝を待つらしい。

牧草地の茂みや、海辺の林などにいくつかの寝床をもっているという。

だが、彼がある日みつけたというその場所は、

なんとも私の想像力をかきたてる不思議な場所だった。




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今は森の奥に埋もれる、遥か昔に捨てられた集落跡に

一本の巨大な老木が立っている。

夕暮れになると、鷺達はその老木をめざして群集まり、一晩羽根を休めるというのだ。

その光景は、まるで巨木に真っ白な実が実り繁っているようで壮観だという。




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そして面白い事に、この木は時々姿を隠すらしい。

場所も道も分かっているし、たくさんの鳴き声もするのに

いざ見に行くとどうしても見つけられない時がある。

夕暮れ時であたりは暗いし、滅多に人も踏み込まない場所だから

そうしたこともあり得なくはない。

それでも、なんとも不思議な話だと思った。




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あの木は神様が護っているのかもしれない。

だから鷺も安心して集まってくるのだ。

私にこの話をしてくれた島人はそう言って笑った。

いつでも見て良いものではないんだと。



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夜、集落の外れの深い森を眺めて思う。

満月の明かりの下、ひしめき合う純白の白鷺達を

奇妙な果実のように実らせた老木の姿を。




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私もいつの日か、夢のようなその木を見ることができるだろうか。







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多少細部を脚色しましたが、この話の大方は実話です。
鷺ですずなりになった木は本当に島にあるそうな。
ただ、その場所は結構面倒くさい場所にあり、また年がら年中見える訳でもないので
話をしてくれた島人も滅多に行かないらしいですが。

当然、私もまだ見たことがありません。
「探してごらんよ」と言われましたが、夜は呑んでますし、朝は呑み潰れているので、
なかなか腰が重いというのが本音です。
それに森の奥には危険がいっぱい潜んでいます。
「サギ」を探しにいって「ハブ」に噛まれたなんて、シャレにもなりません。

ただ、夕暮れの森の上をかなりの数で飛ぶ鷺の群れを見かけることはあります。
オレンジ色の空にシルエットとなって、これはこれでとても美しい。

もしかしたら「夢の木」に戻っていくのかもしれませんね。

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by amboina | 2010-05-10 14:01 | 八重山