Amboyna's Color

蝶を追う人

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年に一度か二度、島で顔を合わせる人がいる。

もの静かで立ち振る舞いも穏やかなその人は、蝶の収集家だった。

聞けば季節ごとに休みを見つけては全国を廻り、

大好きな蝶々を追い求めているのだいう。




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初めて会ったとき、彼はこの島には観光で来たのだと言った。

すぐ隣のずっと大きな主島での採集を終え、

たまにはのんびり観光でもしてみようかと、急遽この島に立ち寄ったらしい。




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「この島にも蝶はいっぱいいますが採らないんですか」

と私が聞くと、彼はさほど興味もないように首を振り、

「あまり期待してないねぇ」と苦笑いを浮かべた。




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そこで私は、南の浜に向かう道には蝶がたくさん群れていて、

そこを歩くと飛び立った蝶が後ろで渦を巻くのだ、と話してみた。

「とても綺麗でしたよ」

「ほう、なら一度行ってみようかな」

さほど気を引かれたふうでもなかったが、

優しい彼は私を気遣うようにそう言って、ふらりと出かけていった。




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そのまま、夕食時になるまで彼は帰ってこなかった。

その翌日は、朝早くから採集道具を整え、完全装備で出かけていった。

「これじゃあ、観光にならないよ」

たくさんの獲物を抱えて、午後遅くに戻ってきた彼の顔は

そう言いながらも幸せそうな笑みで溢れていた。




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今年も彼からの便りが届く。

取り扱い注意と大きく書かれた小包とともに。

その中にはピンで留められた色とりどりの島の蝶と、

やさしい彼の笑顔が詰まっているはずだった。




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人との出逢いというものは本当に不思議なものです。
その後、この優しい蝶の収集家とは何度も島で同宿しました。
嬉しかったのは、宿帳に私の名前を見つけたからと
自分の予定を10日もずらしてくれたこと。
いやはや恐縮してしまいます。

彼との出逢いがきっかけで、私も蝶の写真に挑戦するようになりました。
しかし蝶々は難しい… レンズの超音波モーターのせいにしていますが
いやはやまともに撮れません。

「○○さん、綺麗な蝶を撮りましたよ!」
「○○君、言い難いんだけど、これは蛾だよ」
「………」

まずは、蝶と蛾の違いを憶えることのほうが先のようです。

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by amboina | 2010-05-15 04:11 | 八重山