Amboyna's Color

爬龍の鐘

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港は静かな熱気に満ち満ちていた。

賑やかな三線と歌声が響く中、

興奮を隠せない様々な顔が忙しなく行き交っている。




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旧暦の五月四日。

海神祭のこの日、漁の安全と豊漁を祈願した伝統行事である

爬龍船の競漕が島の各漁港で盛大に開かれていた。




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空は相変わらずの曇天だったが、

時おり薄い陽射しが差し込む湾内は

詰めかけた人々の熱気がそうさせるように、

言いようのない予感を含んで波高くざわめいている。




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スタートを告げる鐘が鳴った。

岸壁や防波堤に陣取った島人があげる声援の先、

喫水の低いサバニの上で11人の男達のかけ声が重なり合い、

勇壮な櫂さばきを推力に三艘の爬龍船が波を切って疾走する。




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爬龍船競漕の鐘が島に響くと梅雨が明けるという。

夏を呼ぶその高らかな鐘が港に鳴り渡るたび、

地元の子供も老人達も、見ず知らずの観光客同士も、

低い雲を突き破るほどのかけ声を合わせて懸命に櫂を漕ぐ。




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転覆する船や、大差がついた競漕もあった。

しかし水飛沫の中に弾けるみんなの笑顔と笑い声が、

この祭りに勝敗などないということを伝えている。




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ひときわ盛大に鐘の音が鳴った。

祭り最後の爬龍船が渦巻く歓声と熱狂を切り裂き

疾風のように港を駆けていく。




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その煌めく航跡の中にほんの少しだけ、

待ちわびる真夏の光が閃いたような気がした。




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久米島の第二弾です。

6月の久米島の旅でとても楽しみしていたのが、この爬龍船の競漕。
沖縄ではハーリーと呼ばれる海神祭の観戦でした。
しかしこのハーリー。毎年、梅雨明けぎりぎりの頃に開催されるため、
これまで中々見る事ができず、ついに念願が叶いました。

今回私が見る事ができたのは、「儀間」という港の海神祭で
比較的小さなハーリーでしたが、それでも迫力は満点。
参加する人も応援する人も真剣で圧倒されてしまいます。
途中、地元から同行した友人の思わぬ飛び入り参加もあり、
私もカメラを忘れて大声で声援してしまいました。

さらに旅の主催者の鶴の一声で、来年は我々も参加する事に…
どうやら次回は重いカメラを担いで鍛えた腕っぷし試す事になりそうです。
島人からも「ハーリー向きの、いい腕してる」というお墨付きをいただいたので、
意地でも中途半端なレースは見せられません。

なので、来年は「撮る方」から「漕ぐ方」に転向して
頑張りたいと思います。

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by amboina | 2010-07-17 04:03 | 南方行脚