Amboyna's Color

真昼の花火

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それは最初、小さな焚き火のように見えた。

西の集落の中心近く、島の歴史を集めた収蔵館の庭先に

細かな炎がちらちらと揺らめいている。




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太陽は天頂に昇り、気温は28°を超えていた。

そんな茹だるような真夏の盛りに、まさか焚き火はなかろうと歩み寄ると、

遠くで火の粉に見えたのは、ハナチョウジという花の群生だった。




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広い庭の入り口に置かれた大きな水瓶に頭を垂らし、

まさに燃え盛る火の滝のごとく、赤々と花達は咲き誇っていた。

ひとつひとつは数センチ足らずの細長い花である。

しかし鮮やかな緑の茎を埋め尽くす無数の赤い花房が、

群生全体を散り砕ける火花のように見せていた。




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風が吹き、水瓶のふちで花と茎がさわさわと乾いた音を立てる。

手を伸ばし触れてみると、蜜を溜めた花々は重く、

しっとりと指先を滑ってこぼれ落ちた。




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風に揺られ陽に輝きながら

深い水瓶の奥の闇にゆっくりとしなだれ落ちるその姿は、

まるで夜を待てない線香花火のように見えた。




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ハナチョウジ(花丁字)は、もともとメキシコ原産の花だそうです。
沖縄ならば気候次第で一年中咲く事もあるとか。
前回訪れた6〜7月の島には沢山自生しており、とても綺麗でしたね。
基本、花の類いには全くといっていいほど興味がない質なのですが、
今回は何故だか強烈に記憶に残ったので、後日島の友人に尋ねたところ、
あらためてこの名前を知ることができました。

さらにその友人の話ではこのハナチョウジ。
花の蜜が甘いのだそうで、子供の頃によく吸ったのだそうです。
素敵ですね。これだけ大量に一年中咲き乱れていれば、
さぞかし大量に味わえたことでしょう。

そういえば昔、ウチの狭い庭にも蜜の吸える花が沢山咲いていましたっけ。
今はもう雑草との生存競争に負けて姿を消してしまいましたが…
思い出すとなんとなく懐かしいです。

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by amboina | 2010-08-02 01:54 | 八重山