Amboyna's Color

永遠の一秒前

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夕陽見物で賑わういつもの桟橋に背をむけて、

宿で借りた軽自動車に乗り込み東の海岸をめざした。




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舗装の剥がれた放牧地の一本道を進み続け、

鬱蒼と繁った御嶽の森の中を抜けると、

遠くから静かな波の音が微かに聞こえてくる。




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三脚を抱えて壊れかけた護岸を伝い、

海上標識を足がかりにようやく岩場に降り立つと、

そこにはただ波と風の音だけが囁き合う

黄昏の世界だけが広がっていた。




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背後の森影に茜色の雲が空を幾重にも流れていく。

見渡す限り、人の姿はない。

まるで見知らぬ惑星の海辺に取り残された気分だった。

日暮前に、こんな外れの海岸へなど誰もやってはこないのだ。




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彼方には溶鉱炉のように燃え盛る眩い坩堝が、

空を染める蒼の世界に別れを告げようとしていた。

その最後の残照が岩場に点在する潮溜まりを染めて、

尖ったコントラストを浮かび上がらせている。




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誰もいない海辺に立ち、

ひとりファインダーを覗き込む私の周囲で、

時間はゆっくりと速度を落とし、そして止まった。

所在のない不安と形のない安堵が足下に揺らめいている。

理由は分からなかった。




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ただ永遠という、あまりに馴染みのない概念が

恐ろしいほど間近に息を潜めているのを感じただけだった。




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お久しぶりです。

なんとまぁ、ずいぶんと長く休んでしまいました。
8月旅から帰ってきてからというもの、
いろいろと溜めてしまった雑事の始末に奔走しておりまして、
ようやくのAmboyna's Coior再開であります。

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さて今回、紹介した場所は本文でも書いたように
およそ日暮時に観光客の足が向くような場所ではありません。
集落からは遠いですし、道すがら街灯もないので島人もあまり勧めないのでしょう。
なのでいつもは完全貸し切り夕陽スポットとして重宝しています。
もちろん観光客で溢れた賑やかなサンセットタイムも楽しいのですが、
時には誰も居ない海辺で、誰の目も気にする事なく、
ひとりぼうっと写真を撮って過ごすのも気持ちが良いもんです。
見渡す限り、おそらく周囲2km四方誰もいない場所で
気ままにファインダーを覗いているのは、ちょっとした快感ですね。
秘密の遊びをしているようでワクワクしてしまいます。

ただ欠点があるとすれば、最高の夕陽に出逢った時、
その場に共感し合える誰かが居ないという事。
後でその感動を伝える手段が、
私の拙い写真でしかないということでしょうか…
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by amboina | 2010-09-12 17:11 | 八重山