Amboyna's Color

謡いの庭

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いつしか昨夜からの細雨が止んでいた。

同時に島を貫く神の道の彼方から遠雷のような銅鑼の音が、

大きく小さくうねりながら近付いてくる。




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間近に迫った芸能の支度に追われる人々と

詰めかけた来島者の喧噪が入り交じる御嶽の庭に

落ちた木々の影がゆっくりと濃さを増してゆく。




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やがて「道歌」を朗々と詠いながら、

神々の名代である神司を先頭に参詣を終えた行列が

木漏れ日の落ちる広場へと進み入ってきた。




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詠いは「庭歌」へと変わり、迎え踊る人々と道往きの人々。

その双方が互いに手を打ち鳴らし、声を限りに歌を合わせ、

ゆっくりと共鳴しながら大きな螺旋を描き練歩いてゆく。




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若者も老人も、男も女もその螺旋の中でひとつに混ざり合う。

その顔々には無事今日の祭りを迎えた晴れ晴れとした喜びと、

年に一度の日に向き合う静かな緊張がみなぎっている。




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ひときわ高い銅鑼の音を合図に人々の螺旋は解け、

男衆と女衆が向きあう二つの壁となって広がり向き合った。




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緑の庭の中央、人々はそれぞれに天高く両手を宙に舞わせ、

寄せては返す波のように大祭の始まりを祝い踊る。




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歌声は雲を払い天へと駆け上り、

輝きを増しはじめた青空の隅々を埋め尽くし

何処までも高く広がっていった。




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沖縄県・八重山諸島でも最大の祭りのひとつ
国の無形文化財にも指定されている「種子取祭」初日の朝です。

今回紹介したのは7日目と8日目の朝に行われる参詣の締めくくりで、
その日の祭の始まりを告げるセレモニーのようなものでしょうか。
神様に使える神司(巫女・ユタ)を筆頭に、朝から各集落の家々を周った島の長老や
島の重職たちが御嶽前の広場に集まり、芸能参加者達と一緒に踊ります。
私の写真から少しでも伝わればよいのですが、その光景のなんと壮観なことか…
この日のために掃き清められた庭を、数十人の島人が渦を巻くように唄い踊る様子は
物凄いパワーに満ち満ちていて、毎年心を奪われずにはいられません。
なんたって100%の雨予報を度々ひっくり返すほどなんですから、
ある意味恐ろしいパワーでもあります。

とにもかくにも、このセレモニーを皮切りに祭りは怒濤のごとく進んで行きます。
芸能に次ぐ芸能が休む間もなく奉納され、演目に次ぐ演目がこれでもかと続く、
嵐のような48時間がこうしてはじまるのでありました。

当分は「種子取祭」の紹介が続きます。
蒼い空や蒼い海など、南の島の風景はしばらくお休みです。
無理にとは申しません。
興味がある方はぜひお付き合いくださいね。
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by amboina | 2010-11-12 01:02 | 八重山