Amboyna's Color

静かなる足音

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一声、涼しげな少年の声が走り抜けていった。

ちりん、ちりん、ちりん

その声を追うように、やがて軽やかな鈴鐘の音が御嶽の庭に響き渡る。




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一足一足、歩みを刻みながら

賑やかな芸能に湧いた緑の広場へ、静々と羽織袴姿の男たちの姿が進み出た。

短い掛け声と突如鳴り響く鋭い太鼓の音に、

ざわめく会場はしばしの静寂に沈み込む。




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大人達は威風堂々と、

白い鉢巻をきりりと締めた子供達も凛々しく太鼓を掲げ、

しっかり前を見据えている。




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単調に、しかしはっきりと

邪を払うかのような十七個の太鼓は鳴り響き、

幾度も共鳴しては静寂の隙間に呑み込まれ消えてゆく。




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やがて僅かな太鼓の残滓と

大小の足音だけを芝生の上に残し

男たちの隊列は夢のように通り過ぎていった。




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降り注ぐ10月の陽光の下

御嶽の木陰からレンズを通して見つめる私の目に、

彼らの赤い襷は痛いほど眩しかった。




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「種子取祭」第四弾です。

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今回は華やかな女たちの舞いの合間に披露される静かな演目「太鼓」を紹介します。
この演目は島の小中学校の男子生徒と教師、男性島民有志によって演じられ、
特に小学生以上の男の子にとっては後々祭へ参加していく上での登竜門となる演目です。
なにより羽織袴を身に纏ったその男の子達の凛々しいこと初々しいこと。
一生懸命太鼓を掲げ、日頃の練習の成果を見せようと必死に踏ん張っている姿には
無粋な涙腺も思わず緩んでしまうほど健気です。

確かに「棒」や後日紹介する「馬乗者」に比べると地味に見えますが、
果てしなく続く太鼓の音と掛け声にじっと耳を澄ませていると、
不思議とふっと心が安らいでゆくようで私はとても気に入っています。

真剣な彼らの表情から伝わる静かな迫力は、
とても眩しく荘厳な雰囲気に満ち溢れています。
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by amboina | 2011-02-01 10:37 | 八重山