Amboyna's Color

潮騒の街

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海へと緩い傾斜が続く細い街路を歩いた。

緑に縁取られた鉛色の集落が往く手を幾重にも辻折れてゆく。




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早い夕陽に暮れなずむ、そんな箱庭のような小さな空間の先へ、

踏み込んでは迷い、ただ目的もなく歩き続ける時、

視線はファインダーを外れて、虚の彼方を彷徨いはじめる。




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国道からほんのわずかに道をそれた海辺の集落の

鬱蒼としたフクギ並木に埋もれるその細々とした道行きには人影もなく、

行き着く先をどうにも見定まらせない不思議な迷路感に溢れて、

迷子を楽しむ私の五感をゆっくりと麻痺させていった。




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うねる苔むしたブロック塀が赤瓦の家屋を囲う世界で、

砂岩舗装の街路の真ん中に走る排水路だけが

まるで何処かへ誘く道標のように果てしなく続いてゆく。




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高い夏空に逆らうような冷たい風が足下を薙ぎ去っていった。

フクギ並木のざわめきと、その冷たい風に誘われて歩みを東に進めると、

道果てに四角く切り取られた空と海がぽっかりと口をあけている。




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集落の尽きる海辺には高い護岸で守られた小さな浜が広がっていた。

背後に広がる集落と似通った人影のない静かな浜だ。

低い陽射しに照らされ砂浜を這うグンバイヒルガオを伝い、

微かな潮騒と濃い海の香りが立ち昇ってくる。




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彼方の水平線には伊平屋島と伊是名島の島影が微かに浮かび、

南の岬の影には伊江島の尖った稜線が早い夕陽に照らされ輝いている。




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宿へと戻る道すがら振り返ると、

さっきまで私の立っていた海辺を眺めながら

日暮れのおしゃべりをいつまでも楽しむおばぁ達のシルエットが、

遠い空を背景にぽつりと浮かび上がっていた。




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なんだかんだと一週間近く更新が滞ってしまいました。
その理由はずばり、ひどい風邪をこじらせてしまったからです。
沖縄本島の今帰仁を後にし、長期滞在の八重山に移動してからというもの、
季節違いな夏日も枯れ果て、冷たい北風に吹き去られる毎日が続き、
なんとも情けない話ですが見事ダウンしてしまいました。
せっかくのリアルタイム更新の野望も台無しです。

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さて今回は今帰仁村にある今泊という小さな海辺の村を紹介しました。
集落自体を覆い尽くさんばかりに密生する巨大なフクギの森の中を、
軽トラック一台がやっと通れる幅の道が迷路のように絡まり合うその佇まいは、
まるで時間の止まった箱庭のようで、いつ訪れても心が落ち着きます。
わずかに出逢う人々もとても素朴で、海辺の街にありがちな荒々しさはなく
私のような見知らぬ旅人にも優しく接してくれました。
とかく慌ただしいスケジュールに追われる日常から離れて、
こういった静かな集落でゆっくりと数日を過ごす旅というものこそ、
もしかしたら本当の贅沢な時間の過ごし方なのかもしれません。

最近では映画のロケ地にも使われているので、興味のある方はぜひそちらの作品もご覧ください。
ありがちな沖縄舞台の映画とはひと味違った、しっとりとした良い作品でしたよ。

「カフーを待ちわびて」
主演 玉山鉄二、マイコ、勝地涼
販売元: エイベックス・マーケティング
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by amboina | 2011-03-09 17:31 | 南方行脚