Amboyna's Color

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繚乱

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沖縄は花の国かもしれない。

美しい海も山も、独特な文化や明るい人柄も素晴らしいが、

何にも増して豊かで分け隔てなく

一番に旅人を迎えてくれるのは南国の花々だ。




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中でも手つかずの自然が残る沖縄の離島は、

まさに花達の王国である。

四季折々、道の徒然、海辺の砂地にも、

名も知らぬ花達が燃えるような色彩を放っている。




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凛と空に大輪を向ける花。

石垣の上でひっそりと寄り添う花。




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萎れてもなお、艶やかさを残す花。

それぞれが艶やかな顔を持って咲き誇っている。




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花に見蕩れて歩いた午後。

歴史的な家屋として保存されている旧家の軒先で

ごちそうになったハイビスカスのジュースは

まぎれもない真夏の味がした。




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by amboina | 2010-04-30 13:23 | 八重山

葉脈の迷宮

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南からの海風が島の上を渡っていった。

やさしい風に葉がこすれ合うたび

島の緑は自分たちだけの言葉で囁き始める。




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陽に照らされた道端の単葉が

木漏れ日の差す茂みの奥の複葉に話しかけていた。

重なりあうたくさんの植物が互いの葉脈を触れ合わせて

道端の単葉の小さな声を暗がりの奥に伝えていく。




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クバの鋸葉がバシャの葉面を撫で、

地を這うセンダングサが幼いフクギの幹を揺する。

吹き抜ける穏やかな風が止んでしまうまで、

その微かな会話は途切れることなく続いていった。




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トリコロールカラーの集落から一歩足を外に向けると

噎せ返るような草木の香りと、

そんな葉脈たちの呟きに出会うことができる。




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by amboina | 2010-04-29 10:21 | 八重山

遊びの時間は終わらない

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陽の沈んだ浜辺から人影が去り始める頃、

ゆっくりと熱を失っていく空に、蒼い世界がやってくる。

夕陽はもちろん息を飲むほど美しいが、

私はこの蒼い黄昏時がいつも待ち遠しい。





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静かに流れていく雲海の端に、今夜最初の星が瞬く。

やがて全天を覆い尽くす壮大な天の川の、ほんの先触れだ。





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転がるように夜の帳が下りていく、その僅かな隙間。

吸い込まれそうな蒼のグラデーションの中で、

波の音だけが小さく大気を満たしている。





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遠くで名を呼ぶ母親の声を振り切って、

まだまだ遊び足りない子供達が

蒼い波打ち際を駆けていった。





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by amboina | 2010-04-28 03:52 | 八重山

常世の扉

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都会では夕陽などめったに眺めはしない。

いつの間にか昼が夜に替わっているという感じだ。

しかしここでは、その夕陽を眺めるために多くの人々が集まってくる。

気のあった仲間と、宿で知り合ったばかりの旅友と、

または独りきりの時間を愉しみに。

朽ちかけた桟橋や砂浜に腰掛けて皆が水平線を見つめている。




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陽が傾くにつれ、水面に揺れる金色の道が浮かび上ってくる。

海を隔てた大きな島影の上で、雲海のふちが細く燃え上がってゆく。

写真や映画の世界で「マジックアワー」と呼ばれる瞬間である。




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やがて沈みゆく最後の一筋に静かな歓声があがる頃、

どこか遠くで島の釣り人がルアーを投げた。




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その鋭い音が、

この海の彼方にあるという

常世の国の扉が閉じる音のように聞こえた。
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by amboina | 2010-04-27 01:22 | 八重山

夕陽の足音

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民宿での早い夕食を済ませ

すっかり影の長くなった集落を抜けてゆくと

影が伸びてくる方角へ向かって歩く人々と出会う。

よく晴れた日の島の名物を眺めに行く、自分と同じ宿泊客達である。




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沖縄では群を抜く観光地であるこの島も、

日帰りではなく宿泊する客となると、ほんの僅かだ。

そして島で宿泊しなければ決して眺められないものがある。

その一つが夕陽だ。




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島の西に遺る絶景スポットの古い桟橋をめざして

長い影を引いた人々が私を追い抜き歩いてゆく。




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by amboina | 2010-04-27 00:50 | 八重山

マヤー小の視線

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この島には猫が多い。

多いなんてものではなく、そこら中にいる。

集落内はもちろん、海辺にも畑にも飲食店の軒先にもいる。

もちろんペットとして人に飼われている幸せな猫もいるが、

全体の90%は野性味あふれる野良猫である。




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八重山諸島では猫をマヤーと呼び、

古典民謡や昔話にもよく登場する馴染み深い動物だ。

小(グワァ)は愛称なので、マヤー小とはさしずめ

「子猫ちゃん」といったところだうか。




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しかし、なぜこれほどまでに増えたのだろう。

もしや神様の使いとして大切に敬われている存在なのか、

島全体が知る人ぞ知る捨て猫の名所なのか、

農作物を荒らすネズミを駆除するためにやむおえずなのか、

ただ単純に猫にとってここが暮らしやすいだけなのか。




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理由は諸説あるようだが

私が首を傾げるほど、島の人は猫についてそれほど深くは考えていないし

猫のほうもあまり人間に興味を持っていないように見える。

つまりは空気ような、あって当たり前の関係なのかもしれない。




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時に抜け目なく、時に呆れるほど無防備な姿で

彼らは今日も悠然と島を闊歩している。
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by amboina | 2010-04-25 13:04 | 八重山

写真を撮るというコト

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もともとは「映像を撮る」ことが趣味だった。

趣味というより、趣味のようなものだったのである。

そのビデオカメラも、沖縄へ行くことが決まってから

家電量販店で思いつきで買った。

以来数年はビデオカメラで島の景色を撮ることが楽しく、

より綺麗に撮れる機種をと買い増していくこととなった。




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島の民宿で親しくなった常連客の中にプロのカメラマンがいる。

二年前のある日、その彼が一眼レフカメラと写真の撮影を私に薦めてくれた。

彼の撮る「沖縄」は素晴らしく、自分は本当に彼と同じ景色を見ているのか

と疑いたくなるような写真を見事に撮り続けていた。





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憧れ半分、根拠のない自信が半分である。

「欲しい」と思ったら、それこそ理性では抑えが効かない。

おまけに中途半端な凝り性と適度なミーハー気質ときている。

数ヶ月後には一通り機材を揃えて島に乗り込んでいた。





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思い返すと顔から火を噴きそうだが、

おかげで今もなんとか飽きずに写真を撮り続けている。

まだ何もわからず、撮るという行為を真似ているだけではあるが、

彼のように自分ならではの「沖縄」を探すという作業が

いつか本当の趣味になれば良いと思っている。





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by amboina | 2010-04-24 18:21 | カメラ

この先の、そのまた向こうへ

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集落の外は、緑に埋め尽くされた世界だった。

その緑が原色に圧倒された眼には優しく、

吹く風もいくぶん涼やかに感じられる。

風の中に僅かだが潮の香りを見つけて、

彼方の森へと続く一本道をあてもなく歩いた。





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牧草地と牧草地をかき分けてのびる一本道を振り返ると、

遠くの森陰に御嶽の鳥居が見えた。

この島は祈りの島なのだ、という昨夜の友人の言葉が蘇ってくる。




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蝶が舞い飛ぶ緑の小道を抜けると、

いつの間にか誰もいない浜辺に立っていた。

緩やかに傾斜する砂浜の先は、

そのまま水平線まで続く圧巻の紺碧に繫がっている。

聞こえてくるのは小さな波音と風の音だけだ。




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近くの離島へ向かう高速船だろうか。

空と海の境界線をなぞるように、真っ白な航跡が駆け抜けていった。





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by amboina | 2010-04-24 06:57 | 八重山

朱の甍と雲の甍

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職業柄、色彩には敏感な質だと思っていた。

再会の酔いが残る翌日の午後、あらためて日中の集落を廻ってみると

ものの五分でそんな自信が砕け散った。




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抜けるような群青色の空に漂う夏雲と

朽ちた朱が燃え上がる赤瓦の強烈なコントラスト。

その中間に石積の塀と濃い緑、原色の花々がひしめき合っている。

白砂を敷き詰めた眩い道は靴の下で乾いた音を残し、強烈に瞳を焼く。

昨夜はじめて目にした夢幻の島は、

一転して真夏の楽園に塗り替えられていた。




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初めて見るほど影が濃い。

夏の終わりの強烈な陽差しの下で

粘り着くような自分の陰がどこまでも踝に絡みついてくる。




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ふと、眼を上げると

石積みの向こう、葦を編んだ庇の下で

一頭の水牛が静かに餌を食んでいた。
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by amboina | 2010-04-23 05:38 | 八重山

始まりの予感

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初めてその島に足を踏み入れたのは、日も沈みかける夕刻だった。

最終の定期連絡船から降りた私を、真っ黒に日焼けした友人が出迎えてくれる。

彼の運転する廃車寸前の大型トラックの助手席から眺めたその島は、

ひどく小さく、夕焼けにむかって傾いているような印象だった。




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もう日も暮れきった頃になって

「一杯、飲みにいこう」

という友人の一言に従い、はじめて集落内へ足を踏み入れた。

その時の驚きは今も忘れない。

「とんでもない処に来てしまった」と思ったのだ。




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おそらく観光地としても有名なこの島を訪れる人々は、

真夏の太陽が降り注ぐ、星砂の道と古民家の町並みを最初に眼にするだろう。



しかしこのとき車高の高い大型トラックの窓の外に広がっていたのは、

まさに夢幻の郷といった世界だった。

オレンジの街灯が道々を照らし、

その狭間をぼんやりとした燈色の砂道が闇に飲み込まれるままに続いている。

とても静かで、心地よい海からの風が吹き渡っていた。





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今思えばこの時の、

2005年9月の宵に感じた「本物の夜」の雰囲気に

私は今も取り憑かれているのかもしれない。




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by amboina | 2010-04-22 09:19 | 南方行脚