Amboyna's Color

<   2011年 02月 ( 4 )   > この月の画像一覧

強者達の夢の跡

f0236145_1575284.jpg




輝く陽差しを薙ぐように、

冷たい風が吹きすぎていった。




f0236145_1591224.jpg




遠く紺碧の大海を望む城壁を越え、

古木の幹をなめ、背後の深い森の彼方へ

風は絶えることなく吹き寄せ続ける。




f0236145_202328.jpg




f0236145_211851.jpg




崩れかけた石積みに腰掛けた私の前には、

遠い昔に滅んだ王国の記憶が横たわっている。




f0236145_253746.jpg




f0236145_254064.jpg




f0236145_273013.jpg




険しい山間の地形に合わせて、

優美な曲線を描く琉球石灰岩の城壁のうねり。

針穴のように穿たれた門と門をつなぐ石畳の郭路。




f0236145_25553.jpg




f0236145_26355.jpg




かつて此処には強大な王たちが君臨し、

飽くなき栄華と覇権を他国と競っていたという。

見下ろす土地は豊かで、港には貿易船が連なり、

聳え立つ楼閣には多くの麗人が集い賑わっていたことだろう。




f0236145_210118.jpg




f0236145_294217.jpg




しかし今は冷たい風だけが

静かに虚空の底へと吹き寄せている。




f0236145_293955.jpg




f0236145_2134234.jpg




f0236145_2133461.jpg




城跡の隙間を抜ける風音に心を澄ますと、

砕け朽ちかけた石積みの一つ一つが記憶する

遥かな昔の猛者たちの猛々しい雄叫びが、

幻のように浮かび上がってはゆっくりと消えていった。




f0236145_292726.jpg


More…
[PR]
by amboina | 2011-02-27 02:18 | 南方行脚

うりずんの島へ

f0236145_0314958.jpg




沖縄にいます。

雨を狙った今年初めての南方行脚は

狙いもむなしくとても良い天気に恵まれてしまいました。




f0236145_023668.jpg




さすがに夜は肌寒いですが、

そこは南国、日中はTシャツ一枚でも汗ばむほどの陽気。

空は初夏の色、海はすでに真夏の色合いを帯びて光り輝いています。




f0236145_0321832.jpg




f0236145_0323379.jpg




内地から着込んできた皮ジャンをレンタカーのトランクに放り込み、

恥ずかしくなるほど色の落ちた腕を窓から晒して島内を走ると、




f0236145_032237.jpg




不思議なものです、自分の中の歪なチャンネルが

大きな音をたててガチャリと切り替わりました。




f0236145_0322877.jpg




単純ですが、しばらく手こずっていた

なんだかわからないワダカマリや、得体の知れないタテマエが

ゆっくりと自分の中の優先順位からこぼれ落ちてゆくのを感じます。




f0236145_032023.jpg




f0236145_0315480.jpg




得体の知れない他国の軍用機が舞い飛び、

素朴で都会のような洗練さとは無縁の島。




f0236145_0323578.jpg



f0236145_0324317.jpg




しかしここには私が一番好きな匂いが満ちています。

そしてなによりも大きく仰ぎ見上げることができる空が広がっています。




f0236145_0324171.jpg




夕陽が迫る道の彼方に、

まだ生まれていない新鮮な出会いと、かけがえのない思い出の卵が

笑顔で待っていてくれることを祈って




f0236145_0324614.jpg




今年もカメラ片手の旅が始まります。




f0236145_0324854.jpg


More…
[PR]
by amboina | 2011-02-26 03:03

幻の馬

f0236145_181980.jpg




それは突如として始まった。

鮮やかな紫の頭巾に白装束、袖をまとめた赤い襷。

腹には馬頭を括り付けた珍妙な出立ちの男たちが

賑やかな音楽と共に軽快に踊り舞っている。




f0236145_1813877.jpg




腹の馬頭に結んだ手綱を雄々しく掲げ、

馬に跨がった武士の姿を模して時に激しく、進んでは退き、

威声をあげては宙を舞う数十人の男たちの影。




f0236145_1814964.jpg




f0236145_18113327.jpg




彼らが御する幻の馬の口がいなないた。

見えない後脚を蹴り上げ、

在るはずのない鬣が島の風に揺れる。




f0236145_1832015.jpg




f0236145_1832298.jpg




男たちはその荒馬を自在に乗りこなし大地を跳ね、

雄々しい掛け声と共に意気揚々と喝采の中を進む。

嵐を押しのけ、陽射しを呼び込んだ庭の芸能が

やがて幕を下ろそうとしていた。




f0236145_1842672.jpg




f0236145_184357.jpg




その最後の瞬間を見守る天に祈りを返すように、

男衆の足はひときわ高く上がり

幻の馬とともに軽々と宙に舞い上がった。




f0236145_1845012.jpg


More…
[PR]
by amboina | 2011-02-07 18:25

静かなる足音

f0236145_9593653.jpg




一声、涼しげな少年の声が走り抜けていった。

ちりん、ちりん、ちりん

その声を追うように、やがて軽やかな鈴鐘の音が御嶽の庭に響き渡る。




f0236145_1042112.jpg




一足一足、歩みを刻みながら

賑やかな芸能に湧いた緑の広場へ、静々と羽織袴姿の男たちの姿が進み出た。

短い掛け声と突如鳴り響く鋭い太鼓の音に、

ざわめく会場はしばしの静寂に沈み込む。




f0236145_10345573.jpg




f0236145_1042314.jpg




大人達は威風堂々と、

白い鉢巻をきりりと締めた子供達も凛々しく太鼓を掲げ、

しっかり前を見据えている。




f0236145_1042766.jpg




f0236145_1042969.jpg




f0236145_1061193.jpg




単調に、しかしはっきりと

邪を払うかのような十七個の太鼓は鳴り響き、

幾度も共鳴しては静寂の隙間に呑み込まれ消えてゆく。




f0236145_1043495.jpg




f0236145_1043636.jpg




f0236145_104337.jpg




やがて僅かな太鼓の残滓と

大小の足音だけを芝生の上に残し

男たちの隊列は夢のように通り過ぎていった。




f0236145_1083145.jpg




f0236145_10104989.jpg




降り注ぐ10月の陽光の下

御嶽の木陰からレンズを通して見つめる私の目に、

彼らの赤い襷は痛いほど眩しかった。




f0236145_10438100.jpg


More…
[PR]
by amboina | 2011-02-01 10:37 | 八重山