Amboyna's Color

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謡いの港

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爬龍船競漕に湧く桟橋の一画。

小さな儀間の港を背に建てられた櫓の上へ、

それぞれの三線を手に島の子供達が駆け上がって行く。




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朝早くから始まった海神祭の余興として、

島の小中学校に通う子供達だけで結成された

民謡グループが演奏するのだという。




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少女達の涼しい声が連なり、

基礎のしっかりした三線の音と重なり合う。

色艶やかな祭衣装を身に纏った彼女達が披露するのは、

まぎれもない琉球民謡の数々である。




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その演奏を聞いて驚いてしまった。

背筋をぴんと伸ばし、視線を凛と前に据え、

堂々と三線を腰に当てた立ち姿は、

観客の年寄り達も唸る見事なものだったのだ。




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謡いは情け唄からポップスへ、そして地元の民謡に移る。

やがて賑やかなカチャーシーへと弾き繫がれていくと、

櫓を取り巻いていた人垣から自然と踊りの輪が広がっていった。




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やがて全ての演奏が終わり、

満場の喝采を残して人々の関心が爬龍船競漕に戻って行く頃、

ステージ下でくつろぐ彼女達の姿を見つけた。




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緊張の解けたその顔からは、

先程までの凛と張りつめた光は消え失せ、

等身大の少女のあどけない笑顔で輝いていた。




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by amboina | 2010-07-20 01:59 | 南方行脚

爬龍の鐘

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港は静かな熱気に満ち満ちていた。

賑やかな三線と歌声が響く中、

興奮を隠せない様々な顔が忙しなく行き交っている。




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旧暦の五月四日。

海神祭のこの日、漁の安全と豊漁を祈願した伝統行事である

爬龍船の競漕が島の各漁港で盛大に開かれていた。




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空は相変わらずの曇天だったが、

時おり薄い陽射しが差し込む湾内は

詰めかけた人々の熱気がそうさせるように、

言いようのない予感を含んで波高くざわめいている。




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スタートを告げる鐘が鳴った。

岸壁や防波堤に陣取った島人があげる声援の先、

喫水の低いサバニの上で11人の男達のかけ声が重なり合い、

勇壮な櫂さばきを推力に三艘の爬龍船が波を切って疾走する。




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爬龍船競漕の鐘が島に響くと梅雨が明けるという。

夏を呼ぶその高らかな鐘が港に鳴り渡るたび、

地元の子供も老人達も、見ず知らずの観光客同士も、

低い雲を突き破るほどのかけ声を合わせて懸命に櫂を漕ぐ。




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転覆する船や、大差がついた競漕もあった。

しかし水飛沫の中に弾けるみんなの笑顔と笑い声が、

この祭りに勝敗などないということを伝えている。




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ひときわ盛大に鐘の音が鳴った。

祭り最後の爬龍船が渦巻く歓声と熱狂を切り裂き

疾風のように港を駆けていく。




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その煌めく航跡の中にほんの少しだけ、

待ちわびる真夏の光が閃いたような気がした。




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by amboina | 2010-07-17 04:03 | 南方行脚

雨の島

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那覇空港から25分あまり。

青と黄色で縁取られた小さな双発機が降り立ったのは、

深い雲の谷間に沈んだ雨の島だった。




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低い鉛色の空から差し込む梅雨の明かりの下で、

山の緑は深く沈み、海は濃淡の細波を一面に散らしている。




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湿気を帯びた大気が身体にまとわりつき、

細かな汗と混じって腕を伝う。

深く息を吸えば溺れてしまうのではないかと思うほど、

島は底知れぬ水の気配に満ちていた。




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六角形の奇岩が敷き詰められた海辺でも、

数百年の樹齢を誇る松の根元にも、

その水の気配は静寂とともにひっそりと這い上がってくる。




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真夏を前にした沖縄の離島とは、およそかけ離れた世界だった。

ならばと、島を縦断する山道へ車を走らせる。

いくつかの港町を過ぎ、広いさとうきび畑の中を抜け、

より深い濃密な水の気配を求めて、

細く曲がりくねった道を雲の中へと駆け上って行く。




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頂上付近の展望台で車を停めると、遠くで雷鳴が轟いていた。

少しだけ降ろした窓から差し出した腕を大粒の雨が叩く。

振り返ってみると、辿ってきた峠の道は

いつしか雲とも霧とも見分けのつかない、

深い白の中に閉ざされ消えてゆくところだった。



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by amboina | 2010-07-14 05:04 | 南方行脚

毒貝は真夏の島の夢を見る

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ちょっと旅に出てきます。

行き先は例によって沖縄です。




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沖縄はまだ梅雨も明けきっていません。

おそらく今月最初の旅は雨を楽しむ旅となるでしょう。




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明日からは沖縄本島にほど近い久米島に向かいます。

初めて訪れる島なのでとても楽しみですね。

知り合いの三線奏者が唄う「はての浜」という絶景地が

歌詞に違わぬ素晴らしい場所なのかどうか、

この目とカメラで確かめてきます。




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そして久米島から戻った翌週からは、

今年三度目となる八重山に再び渡ります。




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よくぞ飽きないものだとお思いでしょうが、飽きません。

その頃には梅雨も明けているでしょう。

ならばそこは一年で最も美しい季節。

あの原色の島々が私を待っていてくれるはずです。




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そんなわけで、

しばらくは帰ってきません。

お土産も買ってきません。

でも写真だけは沢山撮ってくるつもりです。




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それでは行ってまいります。




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by amboina | 2010-06-13 02:21 | 南方行脚

海人の港

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八重山諸島の外れ、西表島を間近に望む鳩間島は

人口60名足らずの漁業の島だ。




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集落を区分する道は縦横どちらも十本に満たない。

その道々に素朴で生活感を漂わせた赤瓦の住居が身を寄せ合っている。

集落の周囲はうっそうとした自然に囲まれ、

どの道も数百メートルも進めば深い森へと行き当たってしまう。




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そして道を海へと下ると、そこには漁師達の生活の場である

瑠璃色の海と小さな港が広がっていた。

漁船やダイビングツアー船が停泊する古びた桟橋の向こうには、

各島を結ぶ高速船が横付けされる浮き桟橋も真新しく光っている。




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港であっても、その透明度は呆れるほど高い。

ヘドロや排水で汚れた内地の港湾とは比べようもない、

今すぐ飛び込んで泳げる海が防波堤に囲まれた湾内を満たしていた。




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人工の桟橋やテトラポッドと、魚が群れ泳ぐ豊穣の海。

対極にあるような二つの景色が渾然一体となって島に溶け込み、

理想郷のような景色を生み出している。




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陸揚げされた漁船の影に腰を下ろし、港を出て行く船を眺めていると

近くの空き地から楽しげな音が届いてきた。

島に移住した友人と、内地の三線弾きたちが集まって、

島人と即席の音楽会を開いているのだ。




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午後も遅く、その長閑な音と歌声を聞きながら

重くなった瞼を閉じようとしたとき、

瑠璃色の水面を叩いて大きな魚が跳ね上がった。




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慌ててカメラを構え起き上がると、

小魚を追う一匹の大魚がまるで宙を泳ぐように

水底の影を伴って明るい緑の中に融けてゆくところだった。




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by amboina | 2010-06-06 13:05 | 八重山

瑠璃色の島

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地元から移住していった友人を訪ねて、

その小さな離島に初めて降り立ったのは、

2年前の秋の終わりのことだ。




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石垣島から高速船で40分あまり、

輝くような瑠璃色の海に囲まれた鳩間島は

私の予想を遥かに超えた南海の孤島だった。




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今でこそ人気ドラマのロケ地として有名になり訪れる人も増えたが、

それ以前は観光客もまばらな過疎の島だったという。

そのためか、手つかずの自然と澄み切った海は、他の八重山の島々では見ることのできない

昔ながらの素朴な美しさを保っていた。




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島の中央近く、「中森」と呼ばれる鬱蒼とした丘には、

島と島の近海を航行する船を導く純白の灯台が聳えている。

灯台の丘を越えた先は、二本の轍が消えて行く匂い立つような密林だ。




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その灯台を眺めながら島をぐるりと一周する外周道路も、

ひと巡りするのに一時間とはかからない。




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しかし、なにより圧倒されたのはその海の色だった。

遥かな水平線の彼方に向かって、

ありとあらゆる緑の明暗が、刷毛ではいたように果てしなく続いてゆく。




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それはまるで印象派の画家が描いた絵画のようでもあり、

海神が機織った瑠璃色の王衣のように輝いても見えた。




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by amboina | 2010-06-04 14:10

十五夜の呼び声

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南の空に秋の気配が深くなり、満月が空を駈け登る頃。

この島の三つの集落はにわかに活気づき始める。




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この島で年に数え切れないほど祝われる祭事の一つ、

島民、観光客を問わず島中が参加する勇壮な祭り

「十五夜祭」が始まるのだ。




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小雨が降りしきる空の下、祭りの開始を知らせる銅鑼が

島の方々から轟いてくる。




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やがて各集落の集会場から掲げ揚げた旗頭を先頭に、

揃いの法被を着込み隊列を組んだ島人が歩み出ていく。

道行きの銅鑼を盛大に打ち鳴らし、

島の中心に位置する小中学校の校庭へ向かうのだ。




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遠くから次第に近づいてくる三つの銅鑼の音が、

やがて耳を聾する共鳴音となり島の空から天へと昇っていく。

そしてその音を合図に、突然静かに雨がやんだ。




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校庭に三つの旗頭が並び立ち、人々の歓声が沸き上がる。

朗々と謡われる歌、演じられる狂言、披露される演舞の数々に

人々の笑顔と熱気が重なる。




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その笑顔を天から見守るように、

暑く垂れ込めた雲も風も歩みを遅め、

祭りの終わりまで、ついに一粒の雨も落とさなかった。




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by amboina | 2010-06-01 10:33 | 八重山

幸福の浜辺

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日暮時というものは、おしなべて静かなものだと思っていた。

この日最後の太陽が遥かな地平線や水平線に消えて行く様を、

それぞれ感慨をもって眺める、落ち着いた時間だと。




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空が茜色に染まった週末、追い立てられるように桟橋へ急ぐと、

海辺はスペクタクルを待ちわびる人型のシルエットで溢れかえっていた。

楽しげな声が響き、語り合う様々な会話が折り重なって、

穏やかな海辺を埋め尽くしている。




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夕陽に照らされたそんな人々の顔には、

旅の興奮と高揚が眩しいほど輝いている。

太陽が沈み黄昏があたりに広がっても、

海辺はそんな柔らかい喧噪にいつまでも満ちていた。




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宿に戻って行く若者の一団からひときわ高い嬌声があがった。

まるでこれから始まる夜の宴が待ちきれないかのように。




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そうだ、静かな夕陽ばかりでは淋し過ぎる。

この島の日暮時が、いつもこんな風に賑やかで

幸せな空気に包まれていたら、どんなに素敵だろう。




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陽の名残りをこうして笑顔で終えられることは、

本当に素晴らしいことなのだから。




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by amboina | 2010-05-30 17:45 | 八重山

夕陽の記憶

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海を背に集落の外れまで歩くと三脚を立てた。

時には海辺ではない別の場所で、

この島に沈む夕陽を撮ってみたかったからだ。




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太陽はまだ高かった。

カメラを取り付け、構図を考えながらぼんやりタバコを吸っていると

一台の古ぼけた軽トラックが私の傍らに寄って停まった。

「こんなところで何を撮る?」

訝しげに窓から顔を突き出したその老人に理由を話すと、

彼はしばらく私と三脚のカメラを見比べ、

おもむろにニヤリと笑った。

「この季節なら良い場所がある、教えてやろう」




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急いで宿へ戻り、カメラ道具一式を背負って自転車に飛び乗った。

集落の外れから外周道路をぐるりとまわり、島の南側の小さな浜をめざす。

辿り着いたときには夕陽が遠く西表島の麓に沈もうとしていた。




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息を飲むような絶景だった。

いまだかつてこんな美しく沈む夕陽を見たことがなかった。

私は切れる息でカメラをセットし、夢中でシャッターを切った。




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夕時の浜遊びにやってきた女性客が、

私がレンズを向ける彼方を覗いて小さな歓声をあげる。

その時、私は去り際に老人が囁いた一言を思い出していた。




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「そこは50年前、俺がばあさんを口説いたところだ」

そう言った老人の目には、大切な秘密を打ち明けるにはふさわしくない、

いたずらっぽい光が宿っていた。




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by amboina | 2010-05-29 09:12 | 八重山

花たちの午後

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自分のように風流とはおよそ縁のない人間が、

よもや花を眺めて歩くようになるとは思ってもいなかった。




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地元でも見ることができるありふれた花から、

おそらくは熱帯地方でなければ見ることのできない絢爛な花まで、

この島には数しれない花が咲いている。




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もちろん詳しい名前など知らないし、調べようとも思わない。

ただぼんやり眺めながら、あてもなくぶらぶら歩くだけでいいのだ。

それに一年中がお花畑のようなこの島では、

花を探す手間もほとんどかからない。




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しかしそうして日がな一日、花を数えながら歩いていると、

今まで気がつきもしなかった花達の素顔にも気づくようになった。




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最初はそれこそ真っ赤な原色の花にばかりに目を奪われていた。

しかし日向にばら撒たような群生や、天高く伸びた梢の先の一輪。

石垣の端や森の中でひっそりと身を寄せ合う花達の中にも、

見る人の目を奪い、心を惹く自然の彩りがある。




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そんな小さな彩りを探して、島をあてどなく歩くのは楽しいものだ。

なんなら口笛の一つでも吹いて歩きたいほどである。




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もうじき花に溢れたこの島を再び訪れる日がやってくる。

梅雨が明けるその頃、花達はいっそう力強く咲き誇っているだろう。

それまでには、とてつもなく柄ではないのだが、

今年こそ花言葉の一つぐらいは、憶えていってもいいかなと思う。




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by amboina | 2010-05-27 09:45 | 八重山