Amboyna's Color

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夢の樹

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島でよく見かける鳥に鷺(サギ)がいる。

真っ白な体をした体長50センチほどの野鳥だ。

海辺の波打ち際では抜け目なく小魚を狙い、

牧草地では飼育牛の背に停まって、飛び交う虫を狙っている。




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ある時、写真好きな島人が興味深い話をしてくれた。

この島の鷺達は夜になると、ある決まった場所に集まり朝を待つらしい。

牧草地の茂みや、海辺の林などにいくつかの寝床をもっているという。

だが、彼がある日みつけたというその場所は、

なんとも私の想像力をかきたてる不思議な場所だった。




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今は森の奥に埋もれる、遥か昔に捨てられた集落跡に

一本の巨大な老木が立っている。

夕暮れになると、鷺達はその老木をめざして群集まり、一晩羽根を休めるというのだ。

その光景は、まるで巨木に真っ白な実が実り繁っているようで壮観だという。




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そして面白い事に、この木は時々姿を隠すらしい。

場所も道も分かっているし、たくさんの鳴き声もするのに

いざ見に行くとどうしても見つけられない時がある。

夕暮れ時であたりは暗いし、滅多に人も踏み込まない場所だから

そうしたこともあり得なくはない。

それでも、なんとも不思議な話だと思った。




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あの木は神様が護っているのかもしれない。

だから鷺も安心して集まってくるのだ。

私にこの話をしてくれた島人はそう言って笑った。

いつでも見て良いものではないんだと。



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夜、集落の外れの深い森を眺めて思う。

満月の明かりの下、ひしめき合う純白の白鷺達を

奇妙な果実のように実らせた老木の姿を。




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私もいつの日か、夢のようなその木を見ることができるだろうか。

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by amboina | 2010-05-10 14:01 | 八重山

火の鳥

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島に持ち込んだ一番大きいレンズとカメラを抱え、

朝の集落を慌ただしく走る私の姿を見て

親しい島人が「何を撃ちにいくんだ」と言って笑った。




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「今、おるよ。ちょうどいい感じだよ」

少し前、私を柄にもない早起きに駆り立てたその電話の声は、

まるで大切な秘密を打ち明けているように、そっとそう囁いていた。



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どこからか、涼しい独特な鳴き声がこだましてくる。

早く早く、という手招きに甘えて遠慮なく上がり込んだその室内で、

優しい笑顔の老夫婦がそっと窓の外の一点を指し示した。

まだ薄暗い森の手前、

二本の小枝の先にその「火の鳥」はいた。




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リュウキュウアカショウビンという美しい渡り鳥がいる。

そんな話を聞いたのは、この島に通いだして3年ほど経ってからだった。

燃えるような赤いくちばしをもった全身朱色の夏鳥だいう。

野鳥の類いに興味はなかったが、火の鳥という異名にそそられて

一度はこの目で見てみたいと思っていた。




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それはまさに「火の鳥」だった。

緋色の翼を羽ばたかせ、枝から枝へと交互に飛び交いながら、

二羽のアカショウビンが寄り添うように巣を守っている。




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しばらく夢中でシャッターを切ってから振り返ると、

窓の外で涼しく鳴き交わす、あのアカショウビンのつがいのような、

睦まじい老夫婦がこちらを向いて優しく微笑んでいた。




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リュウキュウアカショウビン
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by amboina | 2010-05-02 04:33 | 八重山